大好きな音楽の話をしたいな


by oldblues
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冒険王

b0008880_0453138.jpg南佳孝といえば、都会のお洒落な恋愛を歌うシンガーというイメージが強い。だが、この「冒険王」は、いささか趣を異にしている。このアルバムはタイトルやジャケットのイラストが示すように、少年の夢や冒険、ファンタジーの世界をテーマにして作られた、ある種のトータル・アルバムなのだ。曲の一つ一つは、それぞれが独立した楽曲として完成されているのだが、通して聴くと統一されたイメージが湧いてくる。まあ、そんな感じの作品なのである。

①オズの自転車乗り②80時間風船旅行③素敵なパメラ④カムバック⑤ピース⑥浮かぶ飛行島⑦火星の月⑧宇宙遊泳⑨真紅の魔都⑩スタンダード・ナンバー⑪黄金時代⑫冒険王

と、収録された楽曲のタイトルを並べてみても、そういう感じが伝わってくる。SFありファンタジーありで、山川惣治の絵物語の感覚に非常に近いものがある。これはもちろん意図されたものに違いないが、作詞のほとんどを手がけた松本隆や南佳孝が、世代的な共通のノスタルジーを具現化したいと願った結果ゆえの企画であろうと推察される。

アルバム中、最も有名なのは⑩スタンダード・ナンバーだろう。これは薬師丸ひろ子がカバーしているのだが(メイン・テーマ)、オリジナルとは歌詞が違い、ひとつのテーマを男女が違う立場で歌うという興味深い趣向を取っている。

僕自身のお気に入りは、軽やかでポップなメロディを持った①、キャッチーな③、学生運動華やかな時代を歌った、ほろ苦い印象の⑤などだ。しかし、どれか1曲を推薦するとしたら、やはりアルバムタイトルにもなっている⑫冒険王を選ぶ。メロディ、詞、少し大仰なアレンジなど、どれをとってもアルバムのラストを飾るに相応しい、まさに「王」と賞賛すべきナンバーなのである。

密林に浮かぶ月
川岸の野営地で手紙を記すよ
元気だと書きながら
もう2度と会えぬかもしれないと思う

伝説の魔境に明日旅立つ
古い地図を胸に抱いて
黄金郷(エル・ドラド)探す

君を愛してる わかるだろう
もしも帰れなくても泣かないでくれよ

黒豹の瞳が闇を走る
ガイドさえも震え上がる禁断の国へ

君を愛してる わかるだろう
もしも帰らなければ忘れてくれよ

どうです?この叙情性。僕は少年時代を思い出し、もうなんだか泣けて来てしまうのだ。
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by oldblues | 2005-06-13 00:56 | J-POP