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大好きな音楽の話をしたいな


by oldblues
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音楽の時間

子供の頃、音楽はあまり好きではなかったように思う。いや、聴くのは好きだったかもしれないが、歌ったり楽器を演奏したりするのが苦手だった。おまけに楽譜も読めないから、音楽の時間はかなり苦痛だったのだ。それに現在と違って、ピアノやバイオリンはお金持ちの、それも女の子がすることだと思っていたふしもある。

小学校の音楽の授業ではこんな思い出がある。先ず生徒達に行進曲(アメリカン・パトロール)を聴かせ、その後おもむろに先生が「この曲を聴いて何をしているところを想像するか?」という質問をされたのだ。
明るく軽快な曲調に、僕は「音楽に調子を合わせ、床をホーキで掃除している女性」を思い浮かべた。なので早速手を挙げ「掃除をしている様子!」と答え爆笑された。

多分先生は「行進をしているところ」という答を期待していたのだろう。なるほど、教科書のそのページを見ると、それらしき説明が書かれている。
だが僕は傷ついた。先生は「何をしているところを想像するか?」と質問したではないか。「行進」という答えを正解とするなら「何をするために使われる音楽か?」と尋ねるべきではないか。何をしているところを思い浮かべるなんて、それはもう個人の感性の問題であって、正解などあるはずがない。どんな場面を想像しようが自由ではないのか。

別に今さら小学校時代の先生に対して怒りを持っているわけでもないし、糾弾しようというのでもない。だがこれに似た事は、今でも教育現場で為されているのではなかろうか。そして僕達も、この先生のような過ちを、誰かに対して行っているのではないかという惧れを、時々は自覚するべきではないかと思うのだ。

幸い僕はその後、大の音楽好きになったけれど、子供の頃の些細な出来事で音楽を嫌いになってしまう人もいるかもしれない。それはその人にとってとても不幸な事だし、他者に対してそのような影響力を行使するのは間違いだ。しかしよく考えれば間違いだとわかっても、知らずにやってしまう事もある。だから時々は振り返って反省するべきなのだ。僕もあなたも、誰もが。
by oldblues | 2005-11-06 11:27 | 音楽以外の話