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大好きな音楽の話をしたいな


by oldblues
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風に語りて

風に語りて_b0008880_21415930.jpg本日、久しぶりに「クリムゾン・キングの宮殿」を聴いた。発売された当初から名盤の評価を欲しいままにし、35年以上が経過した現在も、尚その輝きが失われることは無い。今やプログレという1ジャンルにとどまらず、全ロック・アルバムを代表する名作としての評価が定着している、まさに名盤中の名盤である。

しかし、だからこそ、あまりにも多くの場所で多くの人によって語られているがゆえに、実際にアルバムを通して聴く機会は思いの外少なかった。なんというか、聴いていないのに聴いたような錯覚に陥ってしまうのである。ま、これは僕の場合だけかもしれないが。

①21st Century Schizoid Man(including Mirrors)
②I Talk To The Wind
③Epitaph
④Moonchild
⑤The Court Of The Crimson King

どの曲をとっても素晴らしい。しかしアルバムを通して聴くことにより、より深い感銘が得られるような気がする。まるで長編映画を観ているような感じ。メンバー個々の演奏技術も非常に高く、ポップ・ミュージックが芸術の域に到達した稀有な例だと思う。

壮大な組曲としての聴き方が相応しいこの作品だが、それでも個々の曲に対する好みは千差万別だろう。独特のグルーブ感を持つ①をフェイバリットに挙げる人もいれば、ドラマチックな演奏が展開される③が好きな人もいる。いやいや、やっぱりタイトルにもなっている⑤の荘厳さが一番だという人や、④の静謐感を愛する人も多いに違いない。

では僕の場合だが、敢えて選ぶなら②の「I Talk To The Wind」を推したい。「風に語りて」という邦題が冠せられたこの曲は、美しいメロディ、フルートの音色、グレッグ・レイクの透明感溢れるヴォーカル、その全てが見事にコラボレートし、独特の叙情性を醸し出している。惜しむらくは詩が難解で、訳詩を読んですらあまり理解できないところだが、これは僕の語学力不足が原因なので、文句を言うのは筋違いというものである。

キング・クリムゾンはメンバー・チェンジを繰り返しながら、常に進化し続けてきた。数々の作品がある中で、未だに「クリムゾン・キングの宮殿」が代表作として認知されている大きな理由は、ひとえにジャケット・デザインのインパクトに因るところが大きいだろう。蛇足ながら付け加えておく。
by oldblues | 2006-03-18 21:44 | Old Rock