大好きな音楽の話をしたいな


by oldblues
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カテゴリ:70's Rock&Folk(J)( 21 )

Niagara Moon

b0008880_2256787.jpg細野晴臣の「トロピカルダンディ」と時期を同じくし、もう一人のはっぴいえんどである大瀧詠一の2ndソロ・アルバムがリリースされた。そしてこれがまた、ジャケットのデザインからもわかるように、ポップで小粋なセンスに溢れた、本当に素晴らしい作品なのだ。

大瀧詠一の作品は全て大好きだ。だが、その中から敢えて僕のベスト3を選ぶとすれば、3位が「A LONG VACATION」(商業的な成功とキャッチーな楽曲という点から)2位が「ファーストアルバム」(個人的な好みと思い入れから)。そして堂々の第1位はトータル的な質の高さで、この「Niagara Moon」ということになる。
もちろん異論は多数有ろうことと思うが、あくまでも1ファンの個人的な見解ということでご了承いただきたい。

往年のミュージカルを彷彿とさせるような「ナイアガラ・ムーン」で幕を開け、セカンドライン、メレンゲなど、様々なリズムや趣向で最後まで一気に楽しませてくれる。ポップ・ミュージックの醍醐味を満喫させてくれる、綺羅星のような楽曲たちはどれもが粒ぞろいだ。

その中でも僕のお気に入りは、「恋はメレンゲ」、クレージー・キャッツも登場する「楽しい夜更かし」、キング・トーンズを起用したアカペラ・ソングの「君に夢中」、そして番外で「Cider '73 '74 '75」ということになろうか。

余談だけれど、当時の三ツ矢サイダーのCMには秋吉久美子が起用されていたなあ。大瀧さんの作ったメロディーをバックにして、微笑む彼女はとても輝いていた。もちろん僕も若かったし・・・(苦笑)
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by oldblues | 2006-06-03 22:59 | 70's Rock&Folk(J)

トロピカル ダンディー

b0008880_0301592.jpg「元はっぴいえんど」とか「元YMO」などと言わなくても、今や日本を代表するミュージシャンの一人として、評価が定まっている細野晴臣氏のソロ・アルバム。細野さんも最近は偉くなってしまったような感じで、やってる音楽もなんだか小難しくなってる気がしてしまうのだが、この当時のアルバムなら文句無く楽しめるはずだ。

「トロピカル・ダンディー」は、「泰安洋行」「はらいそ」と合わせて、いわゆるトロピカル3部作と称される作品群のひとつだが、僕はその中ではこれが一番好きだ。もちろん他の2枚がダメというわけではない。特に「はらいそ」収録の「ファム・ファタール~ 妖婦」などは大の気に入り曲であるほどだ。しかしながらアルバムごとの楽曲を比較した場合、僕にとってはこの「トロピカル・ダンディー」が最もしっくりくるのだから仕方がない。完成度は「はらいそ」に軍配が揚がるように思えるのだが。ま、好き嫌いなんて多分に個人的主観によるものですからね。

① CHATTANOOGA CHOO CHOO
② HURRICANE DOROTHY
③ 絹街道
④ 熱帯夜
⑤ 北京DUCK
⑥ 漂流記
⑦ HONEY MOON
⑧ 三時の子守唄
⑨ 三時の子守唄(インストゥルメンタル)
⑩ 漂流記

このラインナップの中で、好きなのは②①⑦④⑧の順だろうか。②HURRICANE DOROTHYは、先に書いた「ファム・ファタール」と並び、僕のフェイバリット。①はご存知グレン・ミラー楽団の曲である。他の楽曲も異国情緒に溢れ、当時流行していたトロピカル・ブームの頂点を極めるような出来栄え。さすが才人細野さんの面目躍如といったところであろう。
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by oldblues | 2006-05-21 00:31 | 70's Rock&Folk(J)

遠く離れたおまえに

b0008880_0494865.jpg「日本のホセ・フェリシアーノ」と例えられることの多い長谷川きよしだが、盲目のギタリストでシンガーという共通項は有るものの、彼の構築する世界は、やはりワン&オンリーなものだと思う。

彼はデビュー当時から、サンバやシャンソン、カンツォーネなど、世界の様々な音楽を取り入れてやって来た。しかし個人的な見解ではあるが、よく聴いているとそれらは全て、良い意味で日本的なものへと収斂しているような気がする。そしてこのあたりが、彼ならではの独自性の秘密を解く鍵のひとつでもあるようだ。

「遠く離れたおまえに」は、長谷川きよしがヨーロッパの各地を旅してまわり、場所を選ばず、行く先々での演奏を録音するという企画のアルバムだ。そのため、中には子供の声やヤギの鳴き声などが一緒に入っている曲もあり、のどかな臨場感を味わうことが出来る。しかし、さすがに一発録りしているだけに、おおらかな中にも緊張感のある演奏に仕上がっている。

タイトルにもなっている「遠く離れたおまえに」が秀逸なのはもちろんだが、僕の一番のお気に入りは、ピュアで美しいラブソング「キャティ」。また、悲しい恋の物語になっている「小さなひなげしのように」の出来も素晴らしい。

「別れのサンバ」「黒の舟歌」、加藤登紀子とのコラボレーションによる「灰色の瞳」など、いくつかのヒット曲を持つ彼だが、日本の音楽シーンにおいては、それほどメジャーな存在とは言えないだろう。しかし長谷川きよしは、商業的な成功だとかメジャーになる事には、さほど関心を持っていないに違いない。あくまでも自分のやりたい音楽をひたすらやり続ける。成功や名声はその結果に過ぎないと思っているはずだ。

ピュアなものは美しい。だから長谷川きよしのこのアルバムの楽曲は、全て美しいのだ。
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by oldblues | 2006-05-09 00:52 | 70's Rock&Folk(J)

回帰線

b0008880_17522812.jpgメジャーな音楽シーンとはあまり縁がないが、南正人は長く活動している人である。大ファンというわけでもないのに、彼のアルバムを3枚持っている。フェイバリットに挙げることはないけれど、いつまでも心に残る存在だ。

「回帰線」でデビューしてから、もう30年以上が経過した。そして彼は今でも全国をツァーして回っている。変わらずに「風のように自由に旅する人生」を実践している。これはとてもすごい事だ。誰もがこういう生き方に憧れて口にするけど、実際にやるのはとても難しい。

「回帰線」は71年の作品で、音楽性や演奏の技術だけに注目するならば、後の作品の方が優れていると言えるかもしれない。しかし、このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は今でも鮮やかに蘇る。

1.TRAIN BLUE
2.夜をくぐり抜けるまで
3.こんなに遠くまで
4.海と男と女のブルース
5.It Can't Be Over
6.愛の絆
7.青い面影
8.悲しみ忘れた悲しさ
9.果てしない流れに咲く胸いっぱいの愛

1)3)4)5)などが僕のお気に入りだ。特に「ヨコスカ・ブルース」という別名の付いた4)の歌詞がカッコ良くて、自分でもギターを抱えて真似して歌ったものだ。でも当時まだ子供だった僕には、歌詞の深い意味なんてわかりはしなかったけれど。

男の心は海の広さ
女の心は海の青さ
海が荒れれば心が燃える
海と男と女のブルース
捨てても捨てられても うらみっこ無しさ
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by oldblues | 2005-10-16 17:53 | 70's Rock&Folk(J)
b0008880_1011767.gif70年代初頭、日本人によるブルース・バンドが次々と結成され、それまでマイナーだった「ブルース」というジャンルの音楽が、俄かに身近なものとして注目された。それはムーブメントと呼ぶにはあまりにもささやかなものだったかもしれないけれど、確実にこの国でブルースを根付かせるパワーを持っていた。そして、その中心的な役割を果したのがWest Road Blues Bandなのである。

本作品は彼らの2枚目のアルバムで75年にリリースされた。デビュー・アルバムが少し生硬であったのに比して、地元京都会館でのライブ・アルバムということもあり、熱気に溢れた完成度の高い作品に仕上がっている。惜しむらくは、バンドのもう1人の看板ギタリストであった、山岸潤史が渡米のために脱退してしまっていることだが、塩次伸二をはじめ、新加入したメンバーの頑張りは、それを補って余りあるものだ。
このずっと後、再結成されてニューヨークでのライブも発売されているが、僕としては「愛着」という点からも、このアルバムが彼らのベストであると未だ思っている。

Side:1
1.I Wish My Baby
2.Somebody's Got To Go-Tired Of Your Jive
3.If I Had It To Do All Over Again
4.Black Eyed Blues

Side:2
1.I've Got To Love Somebody's Baby
2.I'll Sing The Blues For You
3.Treat Me So Low Down
4.Hymn To Freedom

Side:3
1.I Won't Leave
2.Mary Had A Little Lamb
3.Please Send Me Someone To Love
4.七転八倒

Side:4
1.Yakety Yak
2.Outside Help
3.Kyoto Soul Stew
4.おおきに(Blues After Hours)

曲目はご覧の通りBBキングからジョー・コッカーまで、はては関西弁を駆使したオリジナルと、バラエティに富んでいる。しかしその根底にあるのは、ブルースへの愛情以外の何物でもない。

このアルバムは友人から借りたのをカセットにダビングし、何度も何度も、本当によく聴いた。そして冒頭にも書いたように、それまで活字でしか知らなかった、黒人ブルースマンの本物?のブルースを、より身近なものにしてくれたという意味でも、僕にとっての記念碑的作品なのである。
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by oldblues | 2005-10-09 10:14 | 70's Rock&Folk(J)

いろはにこんぺいとう

b0008880_021118.jpgデビュー当初から「天才」の名を欲しいままにしていた矢野顕子。その溢れんばかりの才能と惜しげも無く放射されるオーラ、独特のヴォーカル・スタイルなどから、彼女を敬遠する向きもあるようだが、今では世界的なアーティストとして評価されている。

そんな彼女の77年発売のアルバムが「いろはにこんぺいとう」である。名盤では無いかもしれないが、僕にとってはかなり愛着のある作品だ。

タイトル曲は、「いろはにこんぺいとう、こんぺいとうは甘い・・・」という、例の遊び歌をモチーフにしたものだ。わらべ歌のように可愛らしい曲に思えるが歌詞はけっこうシビア。童謡やわらべ歌の中には残酷な内容のものがあるが、そういう意味でもこの曲は、わらべ歌の伝統をきちんと踏襲しているのかもしれない。

④「ほうろう」はご存知細野さんの曲。小坂忠やオザケンで有名だが、矢野顕子バージョンはまた違った味わいが有って面白い。ちなみに⑥「相合傘」も細野作品である。

当時の読売ジャイアンツの人気選手、柳田への讃歌⑤「行け柳田」はご愛嬌として、石川セリ作詞の⑧「昨日はもう」、矢野顕子としてはオーソドックスな感じのする⑨「家路」はいい曲だ。特に僕は「家路」が大好きで、歌詞の

さあもう帰ろうか仕事もようやく終えたし
小さな温もりが僕を待っている
さあもう帰ろうか仕事もようやく終えたし
小さな温もりにしがみつくために

という部分にはいつもドキっとさせられる。一見、小市民的な感情に対するアンチテーゼかのようにも思えるが、僕は必ずしもそうは受け取らない。否定する感情と肯定する感情がないまぜになり、揺れ動く想念の軌跡。そこに一種のアイロニーが生まれているところが素晴らしいと思う。

この当時、矢野顕子はまだ二十歳そこそこだったはずだ。しかし、その若さにしてこんな曲が歌えるなんて・・・やっぱり天才の名は伊達じゃないよね。
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by oldblues | 2005-07-08 00:25 | 70's Rock&Folk(J)

LOVESONGS

b0008880_2212637.jpg「反戦フォークの旗手」「フォークの神様」と呼ばれ、いつしか伝説のシンガーになった岡林信康には、シーンから姿を消していた時期があった。
やがて彼はカムバックすることになるのだが、その間に彼の中でどのような変化があったのかはわからない。おそらくは、音楽活動を停止し自然の中で自分を見つめ直す間に、偶像としての自分や貼られたレッテルから脱却する事に成功したのだろう。

プロテスト・ソングから出発し、ロック、演歌、エンヤトット、と次々に変化してきた彼からすれば、ここで採り上げた「LOVESONGS」というアルバムは、もしかしたら1つの通過点に過ぎないのかもしれない。だが僕は、このアルバムこそが、彼の長いキャリアの中でもベストと呼ぶに相応しい作品だと思うのだ。(この数年前に発売された「金色のライオン」も良いですがね)

1.Mr.Oのバラッド
2.みのり
3.からっぽの唄
4.五年ぶり
5.ラブ・ソング
6.カボチャ音頭
7.男30のブルースよ
8.ベイビー
9.花火

①は彼の自伝的な歌。高石友也に影響されて歌を始め、紆余曲折を経て現在に至るまでの経緯が、生ギター1本の演奏で淡々と語られる。②みのり⑨花火 は彼の子供達に対する語りかけの形式を取りながら、人間としての生き方や過去について考えさせられる名曲だ。

全ての収録曲が名曲と言っても過言では無いほどに質の高いアルバムだが、その中でも僕のイチオシはやはり⑤の「ラブ・ソング」だ。世の凡百のラブソングなら「君を愛している」「君を守ってあげる」と歌うところだがこの曲は違う。

人間は、最も愛する人に対しても、常に100%の愛情を注ぐことは出来ない。時には腹を立てたり、面倒くさくなったり、お互いの愛情に自信が持てなくなったりする事があるものだ。この曲ではそんな素直な心情をストレートに歌い上げている。本当に素直に正直に自己の感情を吐露しているので、それが聴く者の気持ちを打つのだろう。

ここまで書いてきて改めて思うのだが、このアルバムの楽曲は全て、岡林のピュアな気持ちを感じさせるものばかりだ。気負いや衒いも無く、ただありのままの無垢な魂がそこにある。そういう意味でこの作品は、「ジョンの魂」に優るとも劣らない価値があるのだ。

余談だが⑤や⑧にはバックでムーンライダーズが、⑥にはダウン・タウン・ブギ・ウギ・バンドが参加している。このあたりの演奏も聴き物である。
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by oldblues | 2005-05-08 22:06 | 70's Rock&Folk(J)
b0008880_0184842.jpgはっぴいえんどの曲の中で、自分の好きなものを並べてみると、圧倒的に大瀧さんの曲が多いのに気が付く。解散後のメンバー達のソロアルバムもそれなりに追いかけて来たけど、やっぱり大瀧さんのアルバムが一番好き。そう、僕は大瀧詠一ファンなのだ。

余談だけど、僕は大瀧詠一の事をつい「大瀧さん」と言ってしまう。別に個人的な面識が有るわけではないのだが、彼が僕よりも少し上の世代だという事と、あの「どこにでもいるアンちゃん」的風貌(大瀧さん、ごめんなさい!)から、なんとなく部活の先輩のような、近所のお兄さんのような、そんな親しみを感じてしまうのだ。
なので、この文章の中では彼を「大瀧さん」で統一させて頂きます。

プロデューサーとして、CMメーカーとして、ある時はDJやエッセイストとして多才な活躍を見せる大瀧さんだが、当然ミュージシャンとしても優れた作品をたくさん発表している。
その中で最も質が高いのが「NIAGARA MOON」、最も商業的に成功したのが「A LONG VACATION」であると、個人的には考えている。でも僕が一番好きな作品は「大瀧詠一」と題された、このファースト・アルバムだ。

これは、はっぴいえんどが解散する少し前、1972年に発売された。収録曲は全12曲。演奏時間が30分足らずなので、かなり短い曲ばかりだと言える。これは大瀧さんが愛する古いアメリカン・ポップスのような曲が、アルバムの中に多く含まれていることと関係しているのではないかと思う。

①おもい は透明感のある松本隆の詩が活かされたアカペラ曲。「橙色 空の光 身体を白く透き通らせて…」という美しい言葉と、大瀧さんのファルセット・ヴォイスがぴったり合った小品だ。そしてこのアルバムの楽曲は(非常にアバウトだが)こういったリリシズム溢れる作品と、地口や洒落などの言葉遊び的な歌詞を、軽快なメロディに乗せた作品の2つに分類される。
前者が②それはぼくぢゃないよ③指切り⑨水彩画の町⑩乱れ髪 であり、後者が④びんぼう⑥うららか⑦あつさのせい などだ。

後年発表される「A LONG VACATION」のような完成度の高さは無いが、大瀧さんがやりたい音楽の原型が既に全て網羅されている。そしてそれは「はっぴいえんど」では為し得ない事だったのだろう。

しかし大瀧さんも寡作だなあ。他の分野でもいろいろ忙しいんだろうけど、早く新しい作品を発表して欲しいものである。それもできればもっと頻繁にね。
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by oldblues | 2005-04-25 00:21 | 70's Rock&Folk(J)

一触即発

b0008880_082760.jpg日本のプログレ・バンドといえば四人囃子だろう。そして、四人囃子といえば「一触即発」、「一触即発」といえば「おまつり(やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)」だ。少なくとも僕の中ではそうなのである。
そりゃ、その後の作品にも素晴らしいものがある。音楽性の高さから言えば「GOLDEN PICNICS」の方が上かもしれない。シングルで発売された「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」も名曲だ。

だがしかし、それでも僕の中ではこのデビュー・アルバムが一番だと位置付けられている。それまで日本に本格的なプログレ・バンドが無く、満を持して登場したこのバンドが、真に優れた上質の音楽をもたらしてくれた驚きの印象が強いからかもしれない。

四人囃子は森園勝利のギターを中心とした、日本で最初のプログレッシブ・ロック・バンドである。(他にもあったけど、この際言いきっちゃう)卓越した技術と音楽性をもって登場し、当時のプログレ・ファンの度肝を抜いた。森園のギターは言うまでもないが、バンド全体のアンサンブルも良く、メンバーではないが作詞家として参加している末松康生の詩とのコラボレーションも素晴らしい。

それまでは「日本語でプログレなんて」と思っていたが、四人囃子はその既成概念を見事なまでに打ち破ってくれた。末松の詩は日常の中に垣間見える非日常の世界を描き出し、叙情的でスケールの大きい演奏と相まって、彼ら独自の世界を展開してみせたのだ。

余談だが、ギタリストの森園はやはりこのバンドで演奏するのが一番ハマっている。彼の才能は今さら言うまでもないが、四人囃子脱退後のフュージョン・バンドやソロ作品で聴く演奏は、彼にしてはどうも凡庸な気がする。

もちろん、だからといって彼の業績が貶められる事は無いのだが
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by oldblues | 2005-03-18 00:12 | 70's Rock&Folk(J)

またみつけたよ

b0008880_23381566.jpg友部正人の詩人としての力量は(別に僕などがここで書くまでもなく)既に多くの人たちから素晴らしい評価を得ている。そして僕も彼の作る詩の世界に魅せられた一人だ。

当時「シンガー・ソングライター」と呼ばれる人たちが多数出現し、いわゆるフォーク・ブームというのを作った。彼等の歌は当然ながら自作自演で、それまでの歌謡曲におけるプロの作品と比べると、稚拙ではあるかもしれないけれど、既存の歌には無い新鮮な言葉やメロディで僕らにある種の衝撃を与えた。

その中でも詩人として作品が「現代詩手帳」にも掲載されたほど評価されたのは、三上寛と友部正人が双璧だったのではないだろうか。もっともこの2人の作品はかなり方向性が違うけれど。

しかし楽曲における詩というのは、いわゆる文学としてのそれとはいささか趣を異にする。文章にした物を読むのと違い、そこにはメロディや演奏、また歌い手の声質などが複雑に干渉し合う。なので、単に優れた詩というだけで聴き手に感動を与えるわけではないのだ。

では友部の作品はどうかというと、少なくとも僕にとっては非常な驚きと感動をもたらした。とは言え、彼の作るメロディが特別に優れたものであったというわけではない。だが、ぶっきらぼうとも言える彼の歌唱スタイルや、シンプルなメロディに乗せて歌われる(語られる)トーキング・ブルースは、その言葉を際立たせるという意味で、技巧的なメロディよりで歌われるより、むしろ適切だったと思うのだ。

現代の吟遊詩人に例えられる彼の作品には名曲がたくさん有る。デビューアルバム「大阪へやってきた」の「まるで正直者のように」「まちは裸ですわりこんでいる」2枚目「にんじん」の中の「一本道」。その他にも「誰もぼくの絵を描けないだろう」「すっぱい雨」「トーキング自動車レース・ブルース」「サキソフォン」「どうして旅に出なかったんだ」など枚挙に暇がない。

収録された曲の水準が粒ぞろいであるということからすれば、やはり「にんじん」が一番かもしれない。でも僕は敢えて「またみつけたよ」を推したいのだ。このアルバムを購入して初めてターン・テーブルに乗せ、1曲目の「反復」を聴いた時の衝撃を忘れられないから。

このぼくを精一杯好きになっておくれ
そして今度の夏がきたらさっさと忘れておくれ

ああ、これはまさにロックン・ロールだ!
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by oldblues | 2005-03-06 23:43 | 70's Rock&Folk(J)