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大好きな音楽の話をしたいな


by oldblues
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Southern Star

Southern Star_b0008880_0334370.jpg1985年8月17日、テキサスはヒューストンでのライブを収録したブートレグ。ほとんどの音源はラジオ放送のために録音されたものらしい。ヴォリューム・レベルが曲によって違ったり、音質の悪い部分があったりするが、それはまあご愛嬌というところだろう。

Disc 1:
1. Ride Across the River
2. Expresso Love
3. One World
4. Romeo and Juliet
5. Private Investigations
6. Sultans of Swing
7. Why Worry
8. Walk of Life
9. Two Young Lovers

Disc 2:
1. Money for Nothing
2. Wild West End
3. Tunnel of Love
4. Brothers in Arms
5. Solid Rock
6. Going Home (Local Hero)

フルートの音に民族音楽を思わせるようなイントロが1分ほど続いた後、満を持したかのようにマーク・ノップラーのギターが入ってくる、ミディアムテンポの重々しいナンバー「Ride Across the River」でアルバムは幕を開ける。そこから、最後の「Going Home (Local Hero)」まで、全15曲が一気呵成の勢いで続いていく。演奏時間がやたらと長い曲もあって、正直いささか冗長に感じる部分がないでもない。しかし、それは僕がその場にいなかった故の感想であろう。演奏は力の入った素晴らしいものだし、聴衆の熱狂振りからもそれは伝わってくる。

思うに、アルバムとして完成された、作品としての音楽を聴くのと、ライブの会場にいて音楽を聴くという行為では、本質的に何かが違うような気がしてならない。ライブの場合は聞こえてくる音以外にも、演奏者の動作や表情、会場の雰囲気など、記憶媒体には記録できないような要素を全て含めないと、そのライブの良し悪しを判断するのが困難だからだ。しかしこのアルバムを聴く限り、そんな理屈をグダグダと並べるのは愚かしいことだと思える。熱のこもった演奏を楽しめばそれでいいのだ。

最近のソロアルバムではストイックな感じすらするほどに、あまりギター・ソロを聴かせてくれないマークだが、さすがにこのライブではケレンのない流麗なフレーズを弾きまくってくれる。ダイアー・ストレイツのファンなら必ずマーク・ノップラーのギターのファンでもあるに違いない。そして、そんな人にも必ず満足を与えてくれるのが、この「Southern Star」というアルバムなのだ。

マーク・ノップラーは「渋い」と評されることが多い音楽家だ。それは彼の歌い方や声質からイメージされているのだろう。しかし考えてみれば、彼ほど美しい音色で、ドラマチックなフレーズを紡ぎだすギタリストは、そうザラにはいない。「渋い」どころか最高に華麗なギタリストと言えるのではないだろうか。もっとも「渋い」という言葉を「Cool」という意味で使っているのだとしたら、それはそれで正しいのだろうけれど。
# by oldblues | 2008-04-06 00:37 | Rock

We Walked In Song

We Walked In Song_b0008880_23212621.jpg2007年に発売された本作品は、おそらく現時点ではThe Innocence Missionの最新作ということになるのだろう。日本盤のみボーナストラック「Shooting Star (Sketch)」が収録され、さらにiTunes Storeで購入すると2曲のボーナストラックが付いてくる。全14曲で1,200円という値段は、なかなかお買い得だなと思う。

1. Brotherhood of Man
2. Happy Birthday
3. Love That Boy
4. Into Brooklyn, Early in the Morning
5. Lake Shore Drive
6. Song from Tom
7. Since I Still Tell You My Every Day
8. Wave Is Rolling
9. Colors of the World
10. Over the Moon
11. My Sisters Return from Ireland
12. Shooting Star (Sketch)
13. Song from Holland (Bonus Track)
14. Do You See My Brothers Coming? (Bonus Track)

彼らの音楽を一言で表すならば「Pure」という言葉が最も適切なのではないだろうか。「心が洗われるような音楽」というのは、表現としては月並みだけれど、実際にはそうそうあるものではない。納められた楽曲のタイトルをずらっと並べてみただけで、なんとなくそんな感じが伝わってくるような気がしないだろうか。

そんな彼らの魅力を支える最も大きな要素は、やはりKaren Perisのヴォーカルであることは間違いない。その声の良さは天性のものだ。しかし彼女の歌をサポートする演奏も、The Innocence Missionというユニットのサウンドを語る上では欠かせない。控えめでありながら主張すべきところはきちんと主張し、まるで歌に寄り添うような一体感を醸し出している。

サウンドからすると、彼等の音楽は「フォーク・ロック」とか「ポップ・ロック」などということになるのだろう。しかしそんなジャンル分けなどは全く意味が無い。それどころか、あきれ返るほど愚かな行為なのだと、この信じられないくらい美しい歌たちを聴いていると、そう思い知らされる。

瑞々しい14個の野苺が並んだ真っ白な皿。「We Walked In Song」はそんなアルバムなのだ。
# by oldblues | 2008-03-30 23:23 | Pops

さざなみCD

さざなみCD_b0008880_22104857.jpgスピッツ12枚目のオリジナル・アルバムということで、オリコンのアルバムチャートでも1位になったらしい。しかし敢えて言わせてもらうならば、このアルバムの中にはスピッツを代表するような名曲は無いと考えている。

誤解のないように書いておくが、これは決して価値を貶めようとしているのではない。むしろその逆で、スピッツの魅力が凝縮されたような曲ばかりが収録されている、非常に質の高いアルバムに仕上がっていると思っているのだ。

1. 僕のギター
2. 桃
3. 群青
4. Na・de・Na・de ボーイ
5. ルキンフォー
6. 不思議
7. 点と点
8. P
9. 魔法のコトバ
10. トビウオ
11. ネズミの進化
12. 漣
13. 砂漠の花

一番のお気に入りは「8」。「抱きしめた時の空の色 思い出になるほど晴れわたる」という歌詞は、まさに草野正宗の真価が発揮されたもので、この美しいフレーズを聴くたびに胸が締め付けられるような気持ちになる。
その次に好きなのが「1」「5」「7」「10」あたりだろうか。特に「7」は『三日月ロック』の中の「夜を駆ける」を彷彿とさせ、こういう世界観が好きな僕にとってはたまらない魅力を感じさせる作品になっている。

名曲は無いけれど全てが佳曲。このアルバムはリリースされた時点から、隠れた名盤という評価を運命付けられているのかもしれない。そういう意味では『フェイクファー』に似ていると思うのだが・・・
# by oldblues | 2008-03-23 22:12 | J-POP

のっぽのサリー

のっぽのサリー_b0008880_2046324.jpg「のっぽのサリー」といえばロックンロールの名曲だ。オリジナルはリトル・リチャードだと思うが、実にいろんな人がカバーし、あのビートルズにおいてもポールが熱唱している。元の曲が良いだけにどれもそれなりに楽しめるのだが、そのへヴィさ故に他の追随を許さないのがカクタスのバージョンである。

カクタスはバニラファッジ解散後、ベースのティム・ボガードとドラムのカーマイン・アピスが中心となって結成した超ド級のハードロックバンドだ。商業的にはそれほど成功しなかったし、今ひとつメジャーな存在にはなれなかったが、彼らの音楽を愛したハードロック・ファンは多いのではないだろうか。

ご承知のように、中心人物の2人がジェフ・ベックとBB&A結成のために抜けてしまった関係もあり、数枚の作品を残して解散してしまったが、この曲が収録されている2ndアルバムは忘れられない名盤である。
*以前このブログでバニラファッジに関する記事を書いた時「1st」としてしまったが、今回調べたところ実は2nd(One Way...or Another)であったことが判明。謹んで訂正させて頂きます。

重いリズムにうねるベース。イントロが始まった瞬間、期待で胸がワクワクしてくる。リズム隊ばかりでなく、ヴォーカルやギターもなかなかのものだ。また、もともとアップ・テンポだった曲をスローなアレンジにしたところが、ますますヘヴィさを増幅していて良い。ま、きっと僕がこのテンポ好きなせいでしょうけどね。
# by oldblues | 2007-05-20 20:47 | Old Rock

E.C. Was Here

E.C. Was Here_b0008880_224790.jpgエリック・クラプトンはもちろん嫌いではない。かといって大好きなギタリストというわけでもない。妙な言い方かもしれないが、僕は自分で彼の「普通のファン」と任じている。他にもっと好きなギタリストはいるし、いまだにブラインドフェイスやデレク&ザ・ドミノス時代の彼が一番良かったと考えている。
とはいえ、やはり彼が気になる存在であることに違いはない。新作が出れば必ずチェックしてしまう。まあその程度のファンということである。

ところで、このライブ・アルバムはかなり好きな作品だ。その前に出た「461 Ocean Boulevard」や「There's One in Every Crowd」といったアルバムは、どうも僕の期待するクラプトンとは違う感じだった。レゲエやレイドバックも悪くないかもしれないが、やはりもっとギターを聴かせてもらいたい。普通のファンである僕としては、どうしてもそんな月並みな期待を抱いてしまうのだ。

1. Have You Ever Loved a Woman
2. Presence of the Lord
3. Driftin' Blues
4. Can't Find My Way Home
5. Rambling on My Mind
6. Further on up the Road

1曲目の「Have You Ever Loved a Woman」を聴いてジーンと来た。久しぶりにブルースを弾きまくる彼がいる。タイトルだって「E.C. Was Here」なんだから嬉しくなるではないか。これだよ、俺が待っていたのは――と、けっこう感慨に耽りながら聴いたものだ。
2曲目「Presence of the Lord」も好きな曲だ。ここではイヴォンヌ・エリマンとのデュエットが素晴らしい。余裕のある演奏ながら心地良い緊張感が感じられる。

もしかしたら「E.C. Was Here」は、一般的にはエリック・クラプトンの代表作ではないのかもしれない。でも僕にとってはやはり忘れられない作品だ。忘れた頃に時々取り出して聴き返したくなる。そんなアルバムなのである。
# by oldblues | 2007-05-13 22:07 | Old Rock