涙は悲しさだけで出来てるんじゃない
2004年 10月 23日
ムーンライダーズといえばマニアックなファンが多い事で有名なバンドである。僕はそれほど熱心なファンというわけではないのだが、まあそれなりにはこの人たちの音楽を聴いてきた。はちみつぱいのアルバムも持ってるしね。
だけど、彼等の音楽を聴いて、ああムーンライダーズっていいなあと、はっきり自覚したのは「最後の晩餐」だというのだから、これはちょっと気づくのが遅いわなあ(苦笑)
この「最後の晩餐」というのは、一時期活動を休止していた彼らが満を持して発表したアルバムで、それが91年のことである。収録されている曲はどれもすばらしいものだが、最初に聴いて印象に残った数曲の内の一つが、表題にした「涙は悲しさだけで出来てるんじゃない」だ。何がいいって、先ずは詩がいい。
これは他の曲にも言える事なんだけど、このアルバム中の作品の詩は、人生を長く生きてきた彼らならではと言うべきか、内容がシビアで非常に深い。サウンドの心地良さから、ともすれば聞き流してしまいそうになるが、日常性の中に潜んだ不条理や孤独などを、シニカルな表現で描き出している。大人のロックファンなら必聴だと言えるだろう
もう一つ触れておきたいのがアレンジの素晴らしさ。こういう事を書くと、ファンの方からお叱りを受けそうだが、僕は彼らの曲のメロディについて、さほど優れているとは思っていない。それを魅力的に聴かせるというのがアレンジの力なのではないかと思う。そういう意味で、僕にとっては、アレンジの重要性を再認識させてくれたアルバムでもあるのだ
by oldblues
| 2004-10-23 22:13
| J-POP